人生すごろく

「あの人はもう”あがり”なのよ。すごろくでいう”あがり”やっちゃったから。『王様のブランチ』って渡部さんのためにあるような番組じゃん。軽くて、映画で、そんなに笑い要らない。渡部さんは”あがり”。あれが終わるときが終わり」

 

かつて有吉はアンジャッシュ渡部をこう評した。

そして、その渡部は色々あってすべての番組の出演を自粛している。もちろん『王様のブランチ』も。もしかしたら自粛だけでは済まず、このまま番組から去ってしまうかもしれない。それはもう色々あったから。というか色々な方と色々やったから。

 

また別の色々があってすべての番組から出演を自粛させられてる人気ユーチューバーの宮迫は(今次のコロナ禍により「自粛」は他人から強要されるものに再定義されました)、かつてテレビに出ていた時に「司会が面白くない」とネットで言われていたことに対しこう反論した。

「待てと。司会に辿り着くまでやったこと遡ってくれと。ひな壇もコントも全部やった。全部そこで勝ち上がってここ(司会席)に座ってることをなんで分かってくれへんの?」

この言説から察するに、宮迫は司会を”あがり”と思っていたのだろう。ひな壇、コント、その他諸々の面白いことをするのは、すごろくの盤面を進むためであり、そのすごろくの”あがり”に司会席があると。司会は今までの努力に対する功労賞あるいはご褒美でありそこで面白いことをする必要がないともとれる。

また、自身の起こした色々について謝罪する場面でも「番組のスタッフ、相方の横に戻りたい」と語っており、彼にとってこの現状は”一回休み”のマスに戻されたくらいの認識に思える。

 

翻って渡部である。

果たして有吉の言うとおり『王様のブランチ』の馘首とともに渡部自身も終わってしまうのだろうか。『王様のブランチ』が彼の”あがり”なのだろうか。

彼自身、今の「グルメキャラ」は生き残りの策だったと語っている。

エンタの神様』でブレイクするも、その他のバラエティ番組では結果を残せず、恋愛心理学、夜景鑑賞士、お魚検定と様々な資格に手を出しキャラを模索する日々。そして、さるプロデューサーの助言で始めた『わたべ歩き』というグルメブログでついに金脈を当てる。寺門ジモン、食べログ、うどんが主食らと癒着を繰り返し今の地位を築くに至った。

何せまたしても有吉曰く「昔はカッスカスの刺身を食べて喜んでいた」人物だ。生存戦略の末にグルメキャラを確立し、たまたま『王様のブランチ』の玉座に就いたに過ぎないわけで、そこから一時的に(もしくは恒久的に)降りている現状は”一回休み”なのだろうか。それとも”振り出しに戻る”だろうか。はたまたまったく別のすごろくに飛ばされたのだろうか。

とにもかくにも、『相葉マナブ』で相撲をした時に、小島よしおとハライチ澤部がきちんと裸にふんどし姿だった一方で、アイドルの相葉と同じくTシャツ姿だった渡部が、今度は裸になってくれることを期待している。