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この世は等しくくだらない

いつだったか、よゐこ有野晋哉が「さんまさん、ゲームやらないんですか」と問いかけたら、明石家さんまはこう答えた。
「あんなもん時間の無駄やないか」


その時、私は言ってやりたかった。
「あなたが夢中になって見ているサッカーなんて時間の無駄じゃないか。
 あなたがやっているお笑いなんて時間の無駄じゃないか」



去る4月21日と22日、横浜アリーナで行われた『ももクロ春の一大事まさかの2DAYS』に行ってきた。
今回もTwitterの力を借りつつ、奇跡的に両日とも現場で生のももクロを体感することができた。


一日目は「ももクロ☆オールスターズ2012」と題され、ゲスト多数、ソロ曲ユニット曲満載、サプライズありの盛り沢山な内容をバラエティ番組的構成でまとめ上げたファン感謝祭という感じ。
在日ファンク、ザ・ワイルドワンズ松崎しげる指原莉乃、デュークエイセス、青空球児・好児まんまちゃんにレオ君、ライナちゃん。「一体何を見に来たんだ」と自問してしまうゲストの数々。最後には全員がステージに集結し『コノウタ』を合唱。この世の混沌を集めたかのような光景に眩暈を覚えるも、その中心で歌うももクロを見て一瞬にしてすべてを納得してしまった。不満を持たれた御仁もいるようだが、この「何でもあり」感もまたももクロの魅力だと。


次いで二日目「見渡せば大パノラマ地獄」。360度を1万4000人の観客に囲まれた円形ステージで、全方位に向けていつもの全力ライブ。いや「いつもの」なんだが、毎回毎回新たな感動で塗り替えてくれる。そしてそれを表現する語彙力を持ち合わせていないことがもどかしく、今回も「最高」という言葉しか浮かんでこない。
最近、ももクロのメディア露出が急速に増え、すべてを追えなくなってきている。それで「もういいかな」となりそうになるんだけど、ライブを見た瞬間に一気に引き戻される。理屈じゃないな、と思わせてくれる。
今回のライブも、『Chai Maxx』のイントロが流れると同時に頭のネジが完全に吹っ飛び、約3時間があっという間に過ぎていた。「終わらないで」とすら思わない。徹頭徹尾脳内が「楽しい」で占拠される。すべてを忘れ、ひたすらに声を荒げサイリウムを振っている。そんな姿を見られたら、ドン引かれても仕方がないというのは分かっている。いい大人が何を子供に必死になっているんだと。時間の無駄じゃないかと。それはもう私も自覚するところだ。こんな文章を書いていて気持ち悪いと思うもの。


それで最初の話に戻るのだが、“時間の無駄”って何だろう。


娯楽って無駄だから楽しいんじゃないだろうか。
有意義な時間の過ごし方なんて果たしてあるのか。趣味に高尚も低俗もあるのか。
あるとしたら、そんなもの多数決で決められた価値観に過ぎない。


私たちは生まれてから死ぬまで、時間を潰している。
その時間を少しでも楽しいものにするために人は趣味に、恋愛に、仕事に費やす。
「趣味」「恋愛」「仕事」と言ってはみたが、言葉として括られるだけで、その中身は人によって千差万別だ。
乱暴な言い方をすれば、あなたの幸せは私には分からないし、私の幸せはあなたには分からない。
傍から見ればどれも時間の無駄で、くだらない。


突き詰めればすべてのことに意味はない。
笑えるから、楽しいから、そのくだらないことに必死になり、夢中になる。
それでその瞬間幸せで満たされたなら、それだけで人生は豊かだ。


だから、この世は等しくくだらない。そして等しく素晴らしい。