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「ホタルノヒカリ2」「モテキ」比較論

今期のドラマの中で毎週欠かさずに見ている「ホタルノヒカリ2」と「モテキ」。


毛色の異なる2本のドラマだが、そのどちらもが、この世の生きとし生ける霊長類ヒト科ヒト属すべてに人生で三度は訪れるという“モテ期”に思いがけず遭遇し、恋愛にまつわるあらゆる“面倒くさい”に直面する物語ということで共通していると思うのだが、そのことに言及している文章がないようなので書いてみた。


ホタルノヒカリ2」の主人公・蛍にしても、「モテキ」の主人公・藤本にしても、恋愛経験に乏しく、恋愛を面倒くさいものだと思っている。
しかし、蛍が仕事には一生懸命打ち込むけど恋愛なんかどうでもいいや〜という態度なのに対して、藤本は29年間彼女なし、非正規雇用、ほぼ童貞、とコンプレックスが服を着て歩いているようなもので、その自信の無さから恋愛したくても恋愛できない不自由さに自縄自縛され、恋愛を諦めていた。


だから、蛍は“面倒くさい”と対峙したとき、一応は努力するが結局は諦め、更には周囲(主に部長)が甘やかすから、成長しない。
初めのうちは蛍も前進に近いことは見せていたが、終盤に至って、部長の元カノ・小夏宛ての手紙で「私は色々努力したけれどできなかったので、部長を頼みます」という甘えの極致のような態度を見せさえし、言い寄ってくる瀬乃に対しても「ドキドキしてしまう」と言った端から「私はそういう恋愛の色々が面倒くさいの」と言い放ってしまう始末。
結婚への様々な障害を乗り越え成長する役割を二ツ木・山田カップルが負わされているあたり、作り手側も「3」へと続けるために蛍を干物女のままにしておくことには自覚的なのかもしれない。
でも、そのせいで蛍が周囲を振り回すだけの単なる自分勝手で嫌な女にしか見えなくなっている。


一方、藤本は恋愛がしたい、でも相手の心に踏み込むのは面倒くさい、と自分の中でもがき苦しみ、時には自己防衛に走り、時には感情を暴走させ、指南役・林田尚子にケツを蹴られながら、泥の中を這いずるように前へ進んでいく。
藤本の周囲で起こるイベントは恋愛もの的ファンタジーにまみれているが、それに思い悩む姿は非モテにとってあまりにリアルで胸をえぐる。根底にあるのは「どうせ俺なんか」という自己卑下で、他者に認めてもらえない孤独だ。
だから好意をほのめかす女性に対してもその真意が掴めなくて自ら行動を起すには至らない。


蛍と藤本が決断を迫られたときに「そんなの分からないよ」と同じ言葉を発しても、蛍は単純に面倒くさいがゆえの思考停止なのに対し、藤本は他者に拒絶されることの恐怖からの懊悩だ。


年下イケメン・瀬乃に言い寄られて、婚約者・部長との間をふらりふらりと漂うだけの蛍は結局のところお姫様だ。二人の男が蛍を奪い合うだけで、蛍自身の決断は皆無に等しい。あったとしても兎の毛ほどの影響力もないだろう実際のところ。
モテ期の真ん中にいる蛍は思い悩むというより困惑しているだけで、それよりも周囲にいる男性のほうがよっぽど精神を疲弊させている。


男と女という二元論で語るには極端すぎなくもないが、白馬の王子様を待つ女性に対して、その王子様を背負わされる男性は地獄のように果てしなく面倒くさい。


蛍の周囲にいる男性と同様に王子様を背負わされた藤本は様々な釣り糸を目の前にし決断を迫られる。恋愛というステージにおいて、重要な一歩を踏み込まざるを得ないのは往々にしてやはり男だ。愛されたければ愛さなければならない。陳腐であるがそういうことなのだろう。


なんだか「ホタルノヒカリ2」を一方的に悪く言っているようになってしまったけど、毎週楽しく見ていただけに最近の蛍の行動に違和感を覚えて残念だったんだよなぁ。
しかし、どちらも最終回直前でどういった着地を見せるのか非常に楽しみ。


ところで、「モテキ」のキスってエロくて最高だよね!