めちゃイケ国民投票は親殺しの物語

親殺し。
古今東西の物語の定番の一つに「親殺し」というモチーフがある。
もちろん文字通り子が親を殺す物語もあるが、多くは比喩として、精神的な親殺しのことを指し、自分を産み育てた根源的な存在であり、それと同時に生まれてすぐ最初に目の前に立ちはだかる壁でもある親(主に父親)を乗り越え、精神的に成長するというものである。


めちゃ×2イケてるッ!』
通称「めちゃイケ」。1996年10月19日にスタートして以来、「守ったら負け」の精神で次々に新たな企画を産み出し、およそ20年の長きに亘ってフジテレビ土曜8時の看板を担い続けているバラエティ番組。
今の20代〜30代にとっては思春期を共に過ごした偉大なバラエティ番組としてもはや説明は不要だろう。そして悲しいことに、現在の凋落ぶりも。

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「ももクロらしさ」とは何だったのか

ももクロのニューアルバムの話をしようか。


その前にちょっとだけ過去に遡ろう。
まず2011年7月27日に発売された1stアルバム『バトル アンド ロマンス』。
今となってはもはや懐かしいアイドル戦国時代と呼ばれていた頃。同年4月の早見あかり脱退を機に「ももいろクローバー」から「ももいろクローバーZ」に生まれ変わった5人組は様々な仕掛けで急速にファンを拡大し、破竹の勢いでアイドル界を駆け上がっていった。
その勢いをそのまま爆発させて焼き付けたかのような『バトル アンド ロマンス』は紛れもない傑作で、アイドルとして初のCDショップ大賞を獲得し、収録された曲のほとんどが以降のライブの定番曲となり、さいたまスーパーアリーナ横浜アリーナ西武ドームと1万人以上の規模の会場を次々に即完売させるグループにまで成長させた。
思えばその多くの曲を手がけたのがヒャダインで、彼の才能とももクロの個性がお互いに高い次元で融合したのが、成功の大きな要因だったのだろう。
逆に言えば、底抜けに明るく縦横無尽に駆け回る溌剌さ、往々にして「全力」と形容されるももクロのパブリックイメージは、ヒャダインの楽曲によって形成され、固定化してしまったのかもしれない。

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『幕が上がる』はうどん脳の夢を見るか

※ネタバレありの感想です。

『幕が上がる』。今や飛ぶ鳥を落とす勢いのももクロが主演。原作は演劇界の重鎮・平田オリザの同名小説。脚本は『桐島、部活やめるってよ』の喜安浩平。しかも各界の著名人が絶賛、伊集院光までもが褒めたとあっては否が応にも期待が高まる。監督に関しては、高校時代友達に誘われるがまま『踊る大捜査線The Movie 2』を観に行って「殺人現場に置かれていた洋ナシは“用無し”というメッセージ。つまり犯人はリストラされたサラリーマン!」という驚愕の謎解きに唖然としてその後うわ言のように「面白かったねー」と繰り返すしかなかった記憶と、「うどんが食べたくなる映画でいいなら俺でも撮れる」と某氏にdisられていた記憶しかないけど、不安要素はそれくらいで、基本的には肯定的なスタンスで鑑賞に臨んだ。

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2013年参戦ライブを振り返る・上半期編

今年限りで命尽きるのではないかと思うほどチケット運に恵まれた2013年。
たくさんのライブに参戦し、そのすべてが素晴らしかった。
2013年の思い出に書き記しておく。

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