『R100』とつっこみ

R100』観てきました。
まず感想を言いますが、面白かった!もの凄く面白かった!
観ていない人は早く劇場に行って、自分の目で確かめてください。その上でつまらなかったのならすみません。ただ興業収入や他人の批判記事だけを見て否定的な意見を撒き散らすのだけは勘弁してください。これがヒットしてくれないと次回作ができないし、好きな人は確実にいるはずなので多くの人に見てもらいたい。松本人志が好きな人なら特に。
松本人志の映画」を見るときの評価軸として、“映画”と“笑い”と“松本人志の映画”の3つが存在する。貶している人の多くは“映画”の文法から作品を読みとろうとしているから低評価になる。確かに演出はベタに走るきらいがあったり、脚本は省略ではなく説明不足であったりと粗が多く稚拙だ。その点に関しては私も明らかに力不足だと感じている。(たまにゾクッとするような画もあるのだけど)
一方、“笑い”として見ようとすると90分以上の尺はコントとしては長すぎるし、所謂コメディ映画として成立させようという気もない。単純な笑いを期待していったら肩透かしを食らうだろう。ただ『VISUALBUM』のような松本人志的な笑い(こういう言い方如何にも信者ぽくて嫌だけど)が好きな人にとって『R100』はとても満足いく出来だと思う。『大日本人』も好きな作品だが、そこから試行錯誤を経てやっと松本人志の映画としての正解が出たように思う。
しかしこの映画を褒めるのがまた難しい。褒めるほどにネタバレになり興を削いでしまうから。これまでの作品にもそういう性質はあったと思うが、今回はとりわけ事前情報を入れずに見て欲しい。そういう訳で以下はネタバレを含みながら褒めるので、本編を観ていない人は決してこの感想を読まずに劇場に行ってください。

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ゴリ押しだから嫌いが分からない

「ゴリ押しだから○○が嫌い」


よく聞く文言だ。○○には何が入るだろう。韓流か、AKB48か、今なら剛力彩芽だろうか。
物の本によればゴリ押しとは「強引に自分の意見などを押し通すこと」だそうだ。
今様に解釈するなら「ある特定の人・モノが人気や実力が不十分であるにもかかわらず、何某かの力によって不相応に過度なメディア露出をする」ということになろうか。
そしてこの“ゴリ押し”を親の仇のように嫌う人がとかく多い。特にネット界隈で顕著で、現代社会の掃き溜めことヤフコメでは、例えば剛力彩芽の記事が掲載されるたびに「ゴリ押し」と書き込む人が後を絶たず、もはやそれを生業にしているのではないかというほど。


確かに過度にメディア露出している人はいるとは思うが、それを単に“ゴリ押し”と言ってしまうと見ている側が一方的に不利益を被っているようで違和感を覚える。
何故ならそのゴリ押しをしているのは私企業だ。私企業の本懐は営利である。事務所であればそのタレントが売れることを、テレビ局であれば視聴率を得ることを、スポンサーであれば売上が伸びることをそれぞれ望んでいるはずで、何も嫌がらせを目的に身銭を切ってゴリ押ししている訳ではない。それが嫌われたのだとしたら、不幸にも需要を見誤っただけのことだ。


それよりも更に腑に落ちないのが、そもそも何故にゴリ押ししている主体ではなく、ゴリ押し“されている”客体が嫌われてるのかということだ。「ゴリ押しだから」なんて言えば尤もらしく聞こえるが、よくよく考えれば理由として成り立っていない。この理由に正当性があるとするならば、トゥーシューズに画鋲を仕込む類の妬み嫉みだろう。
しかし「ゴリ押しだ」と言う人間の多くはそのように見受けられない。恐らく根底にあるのはもっと単純な“なんとなくの悪意”だ。「鼻につく」とか「気に食わない」というような、その程度の悪意があり、そこに“ゴリ押し”という分かりやすい大義が与えられ、これを好機にと嬉々として対象を叩いているだけだ。


24時間テレビ』に対する批判もそうだ。
もはや夏の風物詩のように毎年飽くことなく繰り返される『24時間テレビ』叩き。
代表的なものを挙げると、曰く「ギャラが出ているから本当のチャリティーではない」と。
なんだ「本当のチャリティーではない」って。山岡士郎か。一週間後にここに来てください本当のチャリティをご覧に入れてくださるのかよ。
きっとこの言説を言い始めた人はそれなりの思想を持って批判したのだろうと思う。しかしこの意見に乗っかった多くの人は付和雷同的で、批判した“その先”なんて考えていない。叩くことが目的化していて、そこに建設的な思考は何一つない。


常に悪意というものは燻ぶっている。そこに何かを叩くちょっとした理由(らしきもの)を与えてやるだけでいい。
そうすれば誰かが考えてくれた理由があるから即ち思考は停止し、世間の空気はそれを叩く方向に流れる。
その空気に乗っかれば、安全圏から人垣に紛れて石を投げるだけでいい。
安易な娯楽、叩きたい祭りの出来上がりだ。


だから私が言いたいのは、これからみのもんたを叩くであろうあなたは、自分の中にある悪意の正体に気づいていますか、という話なのです。

私、スナイパーになりまして - コーワYF30-8使用レポート


過日、『恵比寿リトル歌劇団』のために双眼鏡の購入を決意した。
『恵比寿リトル歌劇団』とはエビ中こと私立恵比寿中学のファンクラブ限定イベントで、エビ中主演のミュージカルだ。そう、ミュージカル。見間違いじゃないよ。アイドルのミュージカル。
ちょっと前まではアイドルのミュージカルなんて誰が見に行くんだと思っていたが、それが好きになると見に行くものなんだね。分からないものだ。
アイドルにハマってからというもの古い価値観が次々に更新され感動と恐怖に打ち震える毎日です。草々


それはさておき双眼鏡だ。普段のライブとは違いコールもMIXもない着座しての観劇ということで、これはじっくり堪能するために双眼鏡が必須だと思い至った。

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「明日があるさ」はたけし軍団だった?

魚谷雅彦の『こころを動かすマーケティング コカ・コーラのブランド価値はこうしてつくられる』を読んだ。
著者はライオンに入社後、海外留学、転職を経て39歳で日本コカ・コーラ社に副社長として入社。様々な広告キャンペーンを手掛け、現在は同社の会長を務めている。
本書はマーケティング戦略の考え方を、著者が手掛けた広告キャンペーンのエピソードを交えながら解説しており、為になると同時に読み物としても面白かった。
そのエピソードの中に、お笑いファンにとって非常に面白いものがあった。

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